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ある夏の日、父さんがすいかをかってきた。立派なすいかだった。緑と黒のきれいな縞模様に、蔓をぴんと張った、尻の小さなスイカだった。
これだけ大きなすいか丸ごとを僕は初めて見たものだから、感激してしまって、思わず手にとって抱えてしまった。のしっ、と重量。立派なすいかだ、と思って嬉しくなり、僕はしばらくそのすいかを抱っこしていた。
するとすいかは僕にすり寄ってきた。でっかい球体が、腕の中でもぞもぞ恥ずかしげに動く。その様子がなんだか可愛らしくて、僕はそのすいかがとても気に入ってしまった。
そして僕は父さんと母さんに、可愛がって大事にするから、と言って、そのすいかを抱いて眠った。
次の日僕が目を覚ますと、枕元ですいかがまだ眠っていた。ぼくはすいかを起こさないようにそっとベッドから出たつもりだったのに、すいかは僕に気付いてぱっと目を覚まし、散歩をねだるように鳴きついてきた。僕と出会ったのは昨日なのに、ひどい懐きようだ。でも可愛らしいので、連れて行ってやる。
なんとなく曇っていた。それでも、というか寧ろ涼しくてちょうどいいのか、ジョギングに勤しむ人達が多くいた。おじいちゃんもお姉さんも、すいかを見て、立派ないいすいかだね、と言ってくれた。すいかは嬉しそうにしていたけど、勿論僕も嬉しかった。
僕はすいかを大変可愛がった。いつまでもすいかと暮らしていたいと思った。
ところがある日、僕がいつものように目を覚ますと、いつもそれに気づいて起きてくるすいかが今日は起きなかった。様子がなんだかおかしいので、すいかを見ると、すいかの肌は水気を失い、きれいだった縞模様は黒ずんで模様が薄くなっていた。
抱いてみると、すいかは、軽かった。あまりの軽さに、僕は驚いて抱いていたすいかを地面に落としてしまった。すいかは音を立てて割れ、熟しすぎた真っ赤な中身が辺りに飛び散った。すいかは、死んでいた。
僕はばらばらになったすいかの欠片を一つずつ拾った。一つ、口に含んでみる。とても甘かった。甘いはずなのに、だんだんしょっぱくなってくる。僕は死んでしまったすいかを抱いて泣いた。もうすぐ、夏も終わりである。
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プロフィール
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●GIDとTGを行ったり来たりしているセクマイです。
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●経歴とか
・現在ニート
・チビハゲブサイクの三重苦
・ぼっち
・マニアック戦隊まにれんじゃー 紫パープル
・創作戦隊ブンガクジャー
ブンガクダークブルー(引退)
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ストレンジムラサキ
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