厨二病と境界性人格障害。　
　俺は多分、後者である。というか、こないだネットの診断を受けてそういう結果が出た。カウンセリングに行って来いと言われた。たぶん俺の他にも、そういう人はいる。だけど他者は、それを前者だと言って嗤う。それが気に食わない。
　最初の中二病の定義からこそずれてるし、単語の創作者（伊集院君、尊敬してます）すら責任放棄してるけど、俺はこの単語がどうにも嫌いだ。誰が通過してもおかしくないであろうルートなのに、お前らにそれを嗤う資格はあるのか？

　目立ちたがる。
　なんか、今時の人達はみんな、やたらと「個性」を伸ばしたがる。そんなもの、いちいち伸ばそうとしなくたって、生まれつき備わっている筈なのに。最初から、同じ人間は誰一人として存在していないのに。
　それでも、自分ひとりだけは集団の中で違うと思いたがるのは。「埋もれる」のが怖いんじゃないんだろうか？ 「同じ」でなくても、「似てる」がいる。それを、自分達は見抜けないから。自分は、自分がそれを見抜けないことを自覚していないから。だから他人もそうだと思ってる。自分が、「似てる」の中に放り込まれて、見つけてもらえる自信がないから、見つけてもらえないのが寂しいから。今の人達は、自分が大事だから他人を見ないし、そういった心配事も生まれてくる。だから「自分だけは違う」って、特別な存在だって思いたがるんだ。
　俺もきっとそうなんだろうけどさ。無意識のうちに、目立つような行動をとっているのは。誰かの中から、みんなの中から消えていくのが怖いから。

　自分の可能性について、無限を信じたがる。
　だってそれは、出来ないことより出来ることが多い方がいいだろう。かと言って自分の限界を見極められないというのは愚かな証拠なんだろうけど。
　自分を信じられないよりは信じられる方が、夢が無いよりはある方がいいだろう？
　大体、「自分は特別な何かを持っている筈だ」って、そんなの当たり前だろうが。誰にだって何かしら取柄はあるでしょう？ 取り柄と言えるそれが無くたって、存在している時点で個性はついてくるんだ。
　それにさ、「自分にしか出来ない何かがある筈だ。それを追い求めて極めよう」ってのは即ち、それが目標への原動力になっているわけだろう。それで山登りだとかマラソンだとか研究だとかノーベル賞だとか、偉業を達成できたらそれはそれはいいことじゃないか。
　その芽をどうして罵って摘み取る？ その方がよっぽど愚か者だろ。

　自分の存在の意味について考え込む。
　いいじゃん。腹の足しにこそならないだろうが、気持ちの飢えを凌ぐのには最高よ？ 抑もヒトってのは、脳が肥大化しすぎた生きもんなんだから、空回しでも何でもいいから脳を回転させないとだめなんだよ。
　それにさ、自分の存在って言うか生きてる意味をよく考えた上で、自分の生き方をもっと良くしていこうって考えられたら素敵じゃないか？ 勿論、その意味を見つけられなくて境界性人格障害や自殺に奔る者もいるわけだけど。兎にも角にも、生きる意味を考えることは、その人のこれからを大きく変える力を持っているわけで。
　なのに何故それを罵る？ そりゃさ、考えなくったって、存在している時点でその存在に意味はあるよ。意味と目的が揃って、物事や事柄は存在することが可能なんだからさ。それを考えるのが馬鹿馬鹿しい？ 時間の無駄？ 目標や目的持たないで、酒に酔ったみたいに夢見てるみたいに生涯過ごす方がよっぽど生命の無駄だろ。
　結局さ、マスコミじゃないけど、見てる側の目が腐ってるからさ。無いに等しい知識を恥ずかしげもなくひけらかしている一部の連中だけ見て判断して、それが全部だと思い込んで、自分の存在について考えてる奴はみんな馬鹿だって広めるから誤解が生まれるんだよ。そう言うお前らの方が馬鹿ものだろが。自分の存在の意味を見出せなくて苦しんでるのだっているんだ。その彼らをどうして罵れる？
　確かにさ、そういう人たちは愚かかもしれないよ？ 探し出さなくてもちゃんと存在している「意味」をわざわざ見つけようとする行為は。だけどさ、誰かに愛されることが存在理由じゃない誰かだっているんだよ。誰にも愛されずに生きていくものを、どうして愚かだと罵れるのか？