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通りすがりの性的倒錯
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6年前のきょうは、学校が早く終わって、卒業する文学部の先輩へのプレゼントを見に行こうと言って1・2年生で駅近くのデパートへ行ったのだ。
そのデパートは建物が二つあって、別館へ行くのに、宙に浮いた渡り廊下を通る。そこのムーヴィングウォークに乗っていたときだった。
降りる直前になって、ムーヴィングウォークがキシキシへんな音を立てはじめたのだ。ステップが前後にずれ動いているように見えた。
不思議に思いながらそこを降りて、歩みはじめた途端、ゴッという漫画のそれみたいな揺れが起こった。

3.11。

幸い仲間連中がいてくれたので、身を寄せ合って、恐怖に口もきけぬままパニックになってしばらく過ごした。
デパートの店員さんが「お客様! この建物は安全です!」と言った直後に、近くの天井が落下。「コントかよ!」と心の中でつっこめるくらいには落ちつきを取りもどしていた。

揺れが落ちついてから、一通りの身内にメールを送った。大丈夫か、と。
俺は色眼鏡の度がキツイうえに激しくエゴイスティックだったので、視界にいない身内の安否しか考えていなかった。
一通のメールが、3秒も経たないうちに返ってくる。
「can't accept」の文字があった。
受信拒否の通知だった。
相手は、俺が真っ先に身を案じた人だった。
死んでやろうと思った。
この瞬間に誰が何処でどんなふうに恐怖し苦しんでいるかなどは思考の内になく、ただ、この混乱に乗じて、そして高い建物だったから、飛び降りて、死んでやろうと思ったのだ。
結局窓が見つからなくて、俺は飛び降りずに係員や先輩に誘導されて建物の外へ出た。

そのあとどういうわけかその人物の妹に出くわして、ひとくさり話して、正常性バイアスが働いたのか部員たちとゲーセンへくり出した。

帰ったらテレビの中で炎が上がっていた。
火は怖い。あの津波の映像もこの世のものと思えぬ絵図だったけど、火は、形が残ることを赦してくれない。
水も火も人を生かしてくれ或いは真逆のことをするものだけど、俺は紙に頼って生きてきた人間だから、俺は火のほうが怖い。
その火災の映像は仕方なく物を燃やしていた図だったけど、あのこうこうとした赤色が目に焼きついて離れない。


俺は蒙昧の中を生きている身だけれど、自分で言うのもなんだが信心深くて、この日が来ると、今日が無事に終わりますようにと祈る。
でも、毎日が誰かの命日である以上、無事に終わらない日は明日かもしれない明後日かもしれない今日かもしれない、いつだって起こりうるのだ。
叶うならそんな事態は起きないでほしいし、ほんとうはそのために毎日懸命に祈らなければならないんだろう。
しかし人類は怠惰だからそんなことは出来ない。むしろ放棄しているのかもしれない。めんどくさいし噂をすれば影が差すから忘れているふりをしているのかもしれない。
それでもこの日だけは恐怖するし、祈るのだ。特別な日付け。


ちなみに俺はこれがトラウマでムーヴィングウォークに乗れません。
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プロフィール
HN:
カルトッフェル村崎
性別:
非公開
職業:
制服界の貴公子(予定)
自己紹介:
●特殊な人種に分類される系の凡人です。
●GIDとTGを行ったり来たりしているセクマイです。
●性癖と思考が偏っています。


●すきなもの

・Sound Horizon / ZABADAK / Serani Poji
・ヤンデレ彼女 / HELL HELL / ボールルームへようこそ / 四月は君の嘘
・アイマス / モバマス
・イケメン女子
・制服


●経歴とか

・現在ニート
・チビハゲブサイクの三重苦
・ぼっち

・マニアック戦隊まにれんじゃー 紫パープル
・創作戦隊ブンガクジャー
  ブンガクダークブルー(引退)
・奇想戦隊ストレンジャー
  ストレンジムラサキ


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