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通りすがりの性的倒錯
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ある日を境に、彼は僕達の目の前からいなくなってしまった。


彼の名はヘンゼル。僕だけがそう呼んでいる。
前まではハンスがヘンゼルの愛称だと思っていたのだけど、ヘンゼルがハンスの愛称らしいね。
僕だけが呼ぶ特別な名前。

僕はヘンゼルに恋心のようなものを抱いていた。
それは嫉妬であり、羨望であり、憧憬であった。
ともかく彼の美しいのに惚れ込んでしまって、彼とお喋りがしたくて、でも彼の周りには触れてはならないような空気が漂っていて、僕は彼の読書姿を遠くで見守っているしか出来なかった。


ヘンゼルはある日、僕達の前から居なくなると言った。
僕は止めなかった。彼には彼にしか分からない彼の事情があるから。止めても無駄なことは知っていたし、それが原因で彼に嫌われてしまうのが怖かったから。

彼の誕生日を、僕は祝わなかった。
彼はたくさんの女の子に囲まれて祝福されていた。その輪に僕は入ることが出来なかった。
その代わり、一言だけしょうもない言葉を添えて、引っ越し祝いの蕎麦を送った。

彼とバニーガールの話をした。
彼は誕生日と言う気に中てられたのかおかしな気分になっていたらしく、普段は言いもしない冗談を言って、僕の腹筋を持って行った。
茶目っ気のある彼が好きだった。

彼はいなくなる宣言をしてからしばらくそこにいた。
ほんの少しだけ言葉を交わした。
そして彼は最後にまた美しい文章を残して、いなくなってしまった。
その文章も、消えてしまった。彼を探したけれど、見つからない。


一度、彼の写真を見せてもらったことがあった。
色白で、黒髪に黒縁の眼鏡をかけた彼はとても「好み」だった。
それに彼は背が高くて体重がやたらと少ない、つまりは華奢らしい。
まるで僕の好みじゃないか。僕は、彼に会ってみたくなった。

陰気で自嘲癖があって、それでいて茶目っ気のある彼が好きだった。
僕が今までに出会った中で、二番か三番目に素敵な人だった。
彼が同性愛者であることは知っていたけど、僕は彼を好きだとは言わなかった。

今になって、彼ともっと話をしておけばよかったと思う。
あのとき引き留めていれば少しは何かが変わったかもしれないと思う。
彼に会いたいと思う。
ようやく気がついた。僕は、彼のことが好きなんだと。



結局僕は、彼のグレーテルにはなれなかった。
悪い魔女をやっつけて、彼を檻の中から助け出すことはできなかった。
それどころか、彼は自分がヘンゼルであることすら知らないままでいる。

どうかどうか、この懸想文、彼に届いて。


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プロフィール
HN:
カルトッフェル村崎
性別:
非公開
職業:
制服界の貴公子(予定)
自己紹介:
●特殊な人種に分類される系の凡人です。
●GIDとTGを行ったり来たりしているセクマイです。
●性癖と思考が偏っています。


●すきなもの

・Sound Horizon / ZABADAK / Serani Poji
・ヤンデレ彼女 / HELL HELL / ボールルームへようこそ / 四月は君の嘘
・アイマス / モバマス
・イケメン女子
・制服


●経歴とか

・現在ニート
・チビハゲブサイクの三重苦
・ぼっち

・マニアック戦隊まにれんじゃー 紫パープル
・創作戦隊ブンガクジャー
  ブンガクダークブルー(引退)
・奇想戦隊ストレンジャー
  ストレンジムラサキ


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